藤子・F・不二雄最後の作品『未来の想い出』はどんなストーリー?

数多くの名作を世に残した日本漫画界の大巨匠藤子・F・不二雄ですが、未来の想い出は彼が残した最後の作品です。
藤子作品と言えば楽しいイメージがありますが、未来の想い出はシリアスな要素も強く、大人が読んでも感じるものが大いにあるでしょう。
小さな子どもにはショッキングな内容も含んでいますが、先にある感動や希望を探せるメッセージ性の深い作品として評価されています。

未来の想い出について

連載がスタートしたのは1991年のことで、子ども向けと言うより大人の男性向けの漫画と言えます。
藤子・F・不二雄作品としては、連作シリーズや短編を除いて最後の作品となります。
所謂ループものの作品で、人生に後悔している漫画家が主人公です。
漫画家は記憶を持ったまま生死を繰り返し人生を何度もやり直すループに陥り、作中の時代は1971年から1991年の20年間に設定されています。
主軸は奮闘する漫画家にありますが、仲間たちとの交流や女優志望の劇団研究生との真剣な恋愛も描かれています。
主人公の風貌が作者と似ていることも話題となり、自伝的要素が多く含まれている作品です。
作者が最後に残した作品として、とても感慨深いものがあります。
ちなみに同氏の代表作であるドラえもんにも、同様の効果を持つ道具がいくつか存在します。
タイムマシーンや人生やりなおし機を知っている人は、共通点を探しながら読む楽しみ方も可能です。

簡単なあらすじ

主人公の納戸理人は、かつての人気漫画家として活躍していました。
しかし、今ではすっかり落ち目になり連載がない状態となってしまいます。
彼は作家人生のすべてをかけて執筆した連載漫画にかけますが、非情なことに打ち切りが決定してしまうのです。
日常に希望を抱けず落ち込む日々が続き、惰性で命をつなげているような寒い日々が続きます。
そんなある日、再起を賭けて出版社主催のゴルフコンペに参加するのでした。
見事ホールインワンを出しますが、驚きのあまり発作を起こして倒れてしまうのです。
目を覚ますと、そこは漫画家を目指して上京した20年前の世界だったのでした。

主人公納戸理人について

漫画未来の想い出で欠かせない存在は、やはり主人公である納戸理人です。
山形県出身の漫画家で、高校時代にアマチュアとして読み切りの作品を投稿していた経歴を持ちます。
プロを目指し単身上京しますが、駆け出し時代は同じ漫画家の仲間に揉まれながらも、ざしきボーイというヒット作品を連載します。
アニメ化もされ、他にも次々とヒット作品を世に輩出する売れっ子漫画家と成長を遂げます。
しかし立場に溺れてしまい、世間の流行やニーズを汲み取った漫画を書くことができなくなってしまいます。
結果落ちぶれてしまい、得意とする生活ギャグ漫画も屁理屈なギャグと言われてしまうほど落ち込みます。
作中でループのカラクリに気付きますが、人生をやり直す際、本来の流れに逆らう度に警告の頭痛が起こる体質を得ます。

物語の真相について

実は彼は事故に遭遇したショックにより、上京の日からゴルフコースでの突然死までの20年間を何度も繰り返しているのだと知ります。
何度も同じ失敗を繰り返してしまう原因を明かすため、納戸はタイトルにもある未来の想い出を頼りにいたずらな運命に立ち向かう決意を固めます。
未来の想い出を持った状態で上京当日にタイムスリップした彼ですが、宝くじで1,000万円を当てます。
晶子の実家を救うことに成功しますが、晶子とは女優志望の劇団員であり納戸にとって最愛の人でもあります。
父が経営する会社が倒産してしまうのですが、巻き込まれる形で死んでしまいます。
彼女の死の回避こそが、人生をやり直した納戸の目標となります。
漫画家として仕事を順調に続ける納戸ですが、晶子と晶子の母を焼死から救い出すことだけが残っていました。
そして運命に日を迎え、晶子は母と東京で過ごしているため何も心配はないと納戸は考えます。
しかし彼の思惑とは裏腹に、彼女が過ごしていた隣の部屋で大きな爆発が起きてしまいます。
納戸は運命が書き換えることができない絶望を知り、自らの半世紀のシナリオを大幅に改稿させるべく飛び込むのでした。

作品は映画化されている

漫画作品としてはディープであるためアニメ化は果たされませんでしたが、実写映画として世に残っています。
1992年に公開され、主人公が男性ではなく女性に変更されています。
監督をはじめ製作陣は満足できる内容に仕上がったようで、若いスタッフにとっても良い機会となりました。
映画版のあらすじは原作と異なる部分が多いですが、基本部分は同じです。
主人公の納戸遊子が過去に戻る出来事が起こり、同じ境遇にある親友と人生をやり直そうと決意するのです。
原作との違和感は拭えませんが、比較しながら楽しむと違った楽しみ方ができるでしょう。

藤子作品はどれもメッセージ性が強いですが、中でも未来の想い出は読者に感じさせるものが多い作品です。
漫画家ならではの事情も盛り込まれており、特に大人に読んでもらいたい深みのある作品です。

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