未完になってしまった『チンプイ』。どんなお話?

藤子・F・不二雄作品と言えばドラえもんと答える人が多数ですが、他にも面白い名作が残されています。
チンプイもその1つであり、同氏が得意とするSF作品でありアニメ化されたこともあります。
有名声優が参加するなど話題性にも優れていたため、同氏の代表作品以外では比較的知名度が高く、評価を得ていると言えます。

チンプイの沿革

1985年の6月に藤子不二雄漫画全集が発売されましたが、巻末漫画としてチンプイの連載がスタートしました。
同年11月から単行本の刊行がスタートし、ドラえもんを放送している局の系列でテレビアニメ化されたものが放送されるに至ります。
テレビ放送は1991年に終了しますが、豪華な声優陣もあり未だに話題に出されることがあります。
原作漫画も6年間にわたり、1991年に惜しまれつつも連載が無事終了します。
しかし最終回において、最終巻で書き下ろしの2話を加えて発行予定をするとのアナウンスが流れるのです。
ストーリーとしては完結しなかったため、当時作品のファンはどのような内容となるか楽しみにしていました。
しかし作者が病死してしまったこともあり、残念ながらチンプイは未完の形でピリオドを打つことになります。
出版社は楽しみにしていたファンの声に応じ、連載全話を収録した新装版単行本を発売します。
悪いことばかりではなく、チンプイの評価は今なお続いているのです。
証拠に2014年ですが、短編映画として24年ぶりにアニメ化され話題となりました。

未完状態と気になる結末について

作者の都合や死去により幕を閉じた作品は多いものですが、チンプイの行く末は当時のファンにとっても気になるものでした。
作品は未完となりましたが、作中でまだ明かされていない多くの謎について議論が起こったとのことです。
アニメ放送の最終回のBパートは、原作には描かれていないオリジナルのストーリーが採用されました。
出版社の元社員で編集長という立場で作者と関わっていた関係者は、チンプイの結末についてコメントを残しています。
曰く、関係者に取材したところ映画作品の中で結論じみたことは出している、と回答されたとのことです。
アニメ作品の監督が藤子本人に結末を教えてもらったことがあると判明しますが、その部分の記憶がないと語っています。
結末自体は納得できるものとのことでしたが、結局のところチンプイがどうなったかを知るものはいないのです。
ファンの心の中で作品は永遠と生き続けますが、それぞれの胸の中に結末があるのかもしれません。

チンプイの簡単なあらすじ

物語の主人公は春日エリという普通の小学生の女の子で、ある日当然地球から遠く離れた王子様に妃として選ばれてしまうのです。
気になる相手は地球から35億光年も離れたところにあるマール星のルルロフ殿下で、彼女に対してアプローチを仕掛けます。
せっかくの話ですが、エリには同じクラスの内木一郎に好意を寄せています。
エリはルルロフからの求婚を断りますが、マール星からエリを説得するためにチンプイが派遣されます。
チンプイはエリのことを気に入り、彼女に家で居候と化します。
マール星は高度な科学は発達した地球とは似つかない星で、科法と呼ばれる魔法のような不思議な力が存在します。
チンプイの他にもエリを説得するためにおかしな宇宙人がやって来ますが、ことあるごとに騒動を起こしてしまうのでした。

個性溢れるメインキャラクターたち

主人公のエリですが、小学校6年生の12歳の普通の女の子です。
お転婆で明るい性格の持ち主ですが、毎日のように学校に遅刻してしまうなど悪いところも目立ちます。
しかし友達の話を聞くなど優しい一面もあり、少年漫画の主人公としては申し分ない性格をしています。
ある日当然ルルロフに妃として選ばれてしまうのですが、彼女本人は苦手なことが多いし、何故自分が良いのかがわからないと言います。
そんな状態でチンプイを居候させますが、チンプイこそが作品のキーパーソン的な存在です。
ねずみのような姿をしたマール星人で、それほど可愛らしいわけではありませんが憎めない愛嬌を兼ね備えます。
エリがルルロフと無理矢理結婚することは同情的で、あくまで彼女が納得したうえで結婚することを望んでいるため悪者ではありません。
ドラえもんと共通する部分が多く、彼同様過去のトラウマから特定の動物を極端に嫌います。
作中のトラブルのきっかけとなったルルロフは迷惑な奴で、ファンからも悪い声が上がりますがヒール役と言えるでしょう。
事情により素顔を見せることができませんが、エリの想い人である内木の肉体を借りて彼女に接近するシーンもあります。
内木は絵に描いたような正統派のキャラクターで、ルルロフとは違ってとても良い人物として表現されています。

物語はエリとチンプイを中心に進みますが、小さな子どもだけではなく大人でも感情移入できる素敵な作品です。
未完のまま終わった作品ですが、今なお語り継がれています。

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